第29章 初めて※
「あっ…はぁ…」
降谷の陰茎がカホの腟内を広げていく。
最後にカホがこの感触を感じたのは、降谷に強引に家に連れ戻された時。
けれど今はあの時とは違う。
お互いの気持ちは同じでも、そこにはまだ壁があった。
素直になれず、仮面をつけて自分の中でそっと相手への想いを募らせる。
今はそんなことしなくてい。
素直に相手の愛情を受け止めることができる。
降谷の腰がカホの腰に密着して、そのまま降谷はカホを抱き締めた。
カホは自分の腟内に入っているそれがいつ動くのか分からない興奮に駆られながらも、こうして降谷とひとつになれていることの嬉しさを感じた。
行為をしたのはこれが初めてではない。
けれどもカホも降谷も今日の行為は見知らぬ相手と初めて身体を重ねるような、そんな気分。
恋人同士ではないけれど、お互いの気持ちは分かっている。
目の前の人が自分を好いてくれていること、それが今こうして抱き合っている間に幸せだと感じた。
「んっ…はっ…」
「んっ…」
降谷がカホの髪を撫でて、カホが降谷の首に手を回して
お互いを本能のままに求めるかのような、そんなキス。
目線が絡んで、その瞳はどちらも興奮が抑えきれていなかった。
唇が離れて、降谷は上体を起こした。
カホの腰を掴んで、陰茎をゆっくり引き抜いて、それを再び腟内へ沈めた。
「はっ…あっ…んっ…あっ」
ヌチュ…と音を立てて陰茎が腟内から引き抜かれる。
陰茎が膣奥を突くたびに部屋にはカホの矯声が響いた。
次第に降谷は腰のピッチを上げ、結合部はもっと激しく水音をたてる。
「あっあっあっ…やっ…あんっ…」
「はっ…締め付け…すご…」
「あっ…あっあっ…やだっ…」
「離したくないって感じだな」
そう言って降谷はズンッと強く膣奥を突いた。
「んあぁぁ…!」
安室とは違う降谷の素の口調に、カホは一つ一つの降谷の言葉に胸が高鳴る。
羞恥心を煽るようなことは安室の時にもあったはず。
けれどそれが降谷では…かつての彼の時とは比べ物にならないほど
カホは興奮して、微笑む彼が、官能的で
安室に抱かれた時よりも、何倍も快感が押し寄せて
降谷という人物が、愛おしくて愛おしくて仕方なかった。