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恋と麻薬【名探偵コナン】

第23章 信用できる人


「カホさん、私は貴方の事が好きです。初めて会った時から、今もずっと」
「…」
「告白の返事、聞いてませんでしたね」
「…っ」
「ここで聞いてもいいですか」

「…ごめんなさい」

そう言った、いや言い終わった瞬間だったかもしれない

一瞬、唇に温もりを感じた。
触れるだけ、多分1秒、それぐらいだった。


「カホ」

いつもと違う呼び方。
その声に思わずはっと頭を上げた。

「俺はお前を諦めない」

彼のグリーンの目と視線が絡んで、一瞬目の前にいる彼が別の人に見えて


「…昴、さん?」


戸惑いながらも彼の名前を呼んだ。
彼はニコッと笑って、またいつもの口調に戻って

「そういうことですから、カホさん」

「あ…はい…。えっ…!」

口調の方に呆気に取られて言われた内容に気づくのに遅れた。

今のは…なんだったの?


疑問に思いながらもそれを追求する気にはなれなかった。






キャリーバッグに両手に手提げ。
その様子を見兼ねた昴さんが玄関の扉を開けてくれた。


「あ、ありがとうございます」
「いえ」
「…それじゃあ、本当に、お世話になりました」
「こちらこそ、カホさんと過ごすのは楽しかったです」
「それは、良かったです」


昴さんに頭を下げて何度もお礼を言って
でも言葉だけじゃやっぱり伝えきれなくて
それを昴さんに言うと彼は、なら今度何かお礼の品でも持ってきて下さいと言った。

門を出て、では、と言って歩き出そうとすると
まさか歩いて帰るつもりなんですか、と言われた。
はい、と言うと彼はカホさんらしいですけど、と言いながらどこかへ向かってしばらくして目の前に車がつけられた。
大丈夫だと言っても荷物を奪われてはどうすることもできなかった。
そのまま車に乗らせてもらって最寄りの駅まで送ってもらった。
彼は家の近くまで、と言っていたけど本当に大丈夫だと必死に伝えてそれに頷いてくれた。






家に帰るとやっぱり安室さんはいなかった。
自分の荷物を片付けて、これじゃあ本当に元通りだなと思って



少し遅めの夕飯を食べてお風呂に入った。
お湯に浸かりながら昴さんの事を思い出して

色んな記憶が蘇って

信用できる人

彼はまさしくそんな人だった。




それは今もだけど、

それでも、…



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