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恋と麻薬【名探偵コナン】

第22章 静寂



それからは特に何もしなかった。
両手を塞がれて不自由な身体を無理に動かそうとも思わなかった。
試しに外に出てみようとしたらどういう仕組みか外からロックされているらしく中からは扉が開かなかった。

自分の携帯も家のどこか、恐らく彼の部屋にあるんだろうけど勝手に自分の部屋には入らないように言われており、バレた時が怖いので無理に入ることも出来なかった。






それにつきた。


ぼーっと天井を見上げてそう言えば安室さんはどうして私が今日仕事が休みのことを知っていたんだろう、と疑問を抱く。
でも彼ぐらいならそういうのも簡単に調べられるのだろうと素直に納得した。



監禁


今になってこの言葉が自分にはしっくり来た。

外にも出れない
連絡手段もない
体の動きも制限されている


どうしてこんなことになってしまったんだろう


この非現実的な現状。
手首に付けられた手錠を見ればこれは現実なんだと嫌でも理解させられた。


私はどうして安室さんのところにいるの


数日前までは考えもしなかったこの状況。
向こうももう関わってくることはないだろうと思っていた。
病院で会った時もポアロでの関係のように話しかけられて終わりだと思ったのに

昨日だってどうしてあんな風に抱かれたのか分からない
最終的には自分は安室さんを求めてしまったし彼に飲み込まれていたのは事実

簡単に彼の思い通りになってしまう自分がどうしようもなく嫌だけど

多分私はこんなになっても彼を拒む事が出来ないんだろうな

どれだけ酷いことをされても、傷ついても

それ以上に彼が好きだから

諦めようと思っても

忘れようと思っても


一度会ってしまえば

そんな努力は水の泡になって


また彼に溺れてしまう




思わずはは、と乾いた笑いが出た。

自分でもどうしていいのか分からない
諦める方法が分からない
意識したくなくても彼はこの家に帰ってくる
彼に触れられれば私は喜ぶ
心の奥が見えない彼からの言葉に私の胸は熱くなる


これじゃあ前と何にも変わってない


また利用でもされるの?
それで私は喜ぶの?

今度はどこまで彼に溺れるの?


自分で自分に問いかけた。
もちろんそれに対する答えは返ってこない。


私しかいない彼の家


静寂な空間に何度も私のため息が響いた。





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