第20章 上司
あれ…ここ、
その日の朝、沖矢の部屋で目覚めたカホはいつもと違う風景に周りをキョロキョロと見回す。
昴さんの部屋かな、
本棚には色んな本がびっしりと並んでいて、机には何台かのパソコン。
余計な物は置かれてなくて、きちんと整頓されたこの部屋。
昴さんらしいな
カホはベッドから起き上がろうとした所で腰に鈍い痛みを感じた。
そこで初めて気づいた。
シーツの感触がやけに直接肌に伝わってくることを。
私、服着てない…
カホは上下何も服を着ていなかった。
露になっている下半身にはズキズキとした痛みが響いている。
そっか…昨日私、昴さんと、
カホは段々と頭が覚醒し、昨日の夜、詳しくは今日でもあるが一連の行為を思い出した。
忘れさせて、と昴さんに言ったこと
何度もイカされたこと
ゴムを付けないで自分から入れたこと
中に出して欲しいとお願いしたこと
中にたくさん出されたこと
痴女みたいじゃん私
自分から中出しを懇願するなんて昴さんはどう思ったんだろう
哀れだなとか思ったのかな、
カホはベッドから起き上がる。
ふと部屋の中にある鏡を見た。
鏡に映し出された自分の体には、全身にいくつもの紅い花が咲いていた。
その姿にカホは思わず目を見開く。
いつの間にこんなに…
カホは自分でベッドに入った記憶が無かった。
自分が覚えているのは浴室で昴さんに抱かれているところまで。
その後どうしたんだっけ、
自分でこの部屋に来たの?
鏡の前でカホは必死に思い出す。
その時、部屋の扉がガチャっと開いた。
「起きてたんですね」
中に入ってきたのは沖矢だった。
沖矢は突っ立っているカホにそう告げる。
一方カホは固まっていた。
カホは何も纏わず素っ裸で鏡の前で立っていた。
そんなところに沖矢が来た。
沖矢はカホがフリーズしているのに気づき、ふっと笑って
「たくさん付けたんですよ、カホさんの身体から私の跡が消えないように」
とカホの胸に咲いた一つの紅いそれを指でトンと触る。
「…っ…」
カホはやっと今の状況を理解し、顔を真っ赤にさせてベッドへと潜った。