第16章 思考
次の日の朝。
カホは自室で目が覚め、突如襲ってくる頭痛に頭を抱えた。
なんでこんなに頭が痛いの?
カホは昨日の事を覚えていなかった。
彼女自身こんなにお酒を飲むのも初めて。
そのまま酔って寝てしまうのも初めてだ。
どうやら彼女は酔い潰れると記憶が無くなるタイプだったらしい。
自分は病気なのではないか、とカホは不安に駆られる。
昨日はなんともなかった。
なんだこの尋常じゃない頭痛は。
カホは頭を抑えながらリビングへ入る。
「おはようございます」
中では沖矢が既に朝食を作り終えたところだった。
「…おはよう、ごさいます…」
「おや、どうしました?元気がないようで」
「あの…実は…、さっきから頭痛が酷くて」
「ああ、二日酔いですね」
「え?」
「覚えてないのですか?昨日の夜、カホさんウイスキーを何杯も飲んでいましたから」
「えっ…」
「本当に覚えてないんですね」
「は、はい」
嘘でしょ
ウイスキー?ウイスキーなんて飲んだの?
そんな強いお酒飲めるはずない
というか二日酔いってこんなに辛いものなの
カホは昨日の記憶を思い出すがコナンが遊びに来て、沖矢と食事を取ったことしか思い出せなかった。
「まあ、あれは確かに飲みすぎでしたし次から気をつければ今のようにはなりませんよ」
「気をつけます…」
カホは二度とお酒に溺れないと決めた。
今日仕事か…
こんな酷い状態で行かなきゃいけないのか
でも、自分が悪いわけだし
その日の朝、カホはコンビニで薬を買うためにいつもより早く家を出たのだった。
覚えてない、か
赤井はカホが出た後の家で一人安堵していた。
記憶が無い方が自分としては都合がいい。
彼の事を思い出したのを、覚えていないのだから。
赤井はあの後自室に戻って一人考えていた。
今後カホとどう関係を築いていくか。
赤井としてはこのままただの同居人を続けていくつもりなどさらさらなかった。
自分はもう気持ちは彼女に伝えてある。
それを彼女も分かっている。
カホに触れたい。
それは赤井の正直な気持ちだった。
だがそんな雰囲気もきっかけもない。
それにもう1つ、赤井には彼女に触れたい理由がある。