第13章 救いの手
荷物を中へ運び終わり、沖矢さんは車を駐車しに外へと向かった。
広い
一度お邪魔したことがあるけれどやっぱり広い
こんな大きな家に一人で住んでいるのか
やっぱり寂しいとか思うものなのかな
それに、掃除とか一人じゃ相当大変だったんじゃ…
沖矢さんそれも今まで一人でやってたの?
ぼーっと玄関で突っ立ってそんなことを考えていると、玄関の扉がガチャと開く音がした。
「そんな所に立ったままでどうしたんですか?
リビングに入るようお伝えしたはずですが」
「あ、いえこんな広いお家に今まで沖矢さん一人なんて、色々と大変だったんじゃないかと」
「そうですね…掃除とかはたまにお手伝いさんが来てくれたり、蘭さんや園子さんが手伝ってくれたりしますけど」
「ああ、やっぱり1人じゃ無理ですよね、この広さは」
「一人にこの家に住む、というのはやはり寂しいものではありましたね。だから、カホさんが住んでくれて少しは狭く感じるかもしれませんね」
そう言えば、前もそんなこと言ってたっけ
沖矢さんの言葉にここに来て良かったのかな、と少し腑に落ちるとこがあった。
「それよりカホさんお腹空いてませんか?」
「あ…空いてます…」
「コンビニで何か買おうとしてたんですよね、良かったらカレーが残ってるのでそれで良かったら食べませんか?」
「いいんですか?」
「ええ、作りすぎてしまったので」
沖矢さんよく作りすぎるな、と思いながら私のお腹はさっきから空腹感でいっぱいだ。
沖矢さんの車でも音が鳴らないように力を入れて我慢してたくらいだ。
リビングに入って椅子に座って待っているとカレーのいい匂いが漂ってきた。
「どうぞ、」
「ありがとうございます」
私は手を合わせて、スプーンでそれを口に入れる。
「美味しいです」
カレーに不味いとかはあんま思ったことがないけれど空腹感が強いのか、沖矢さんのカレーが美味しいのか、とにかく今の私にはそれは極上の一品と言えた。
「そんな美味しそうに食べてくれると、こっちも嬉しいですね」
「ほんとに腹ぺこでしたので」
「私が無理矢理連れ出してしまったからですかね」
「そうかもしれませんね」
そう言うと沖矢さんは、すいません、と反省の色もなく笑いながら言った。
なんだかこの空間が私には凄く心地よかった。