第20章 羨望
相も変わらず嫌な夢を見るなか、実弥は学校が始まって忙しそうにしている。
契約もそろそろ切れるし手続きもすんだ。いよいよ引っ越しである。
実弥が仕事をしている間に在宅ワーカーの私が引っ越しを担当することになり、予約していたあの部屋に移動することになった。
午前は仕事、午後からは引っ越し。そして戻ってきて実弥を出迎えるというのがルーティンになりつつあった。
だが。
「終わんないよおおおおお!!!!!」
わずか三日目で悲鳴をあげた。
「家具を解体して積み込んでまた組み立てる作業がわけわかんなさすぎて無理!!洗濯機とか売ったりする色々な作業がまじで億劫なんだけど!!あっちで使う電化製品も調達したりするのも頭バンクしそう!!このままじゃ病んでしまうぅ!!!!!」
「お、落ち着けよ…そうだな、全部任せて悪かった、力仕事は夜に俺がやるから…。」
「あぁあ~ん!!そんなこと言って!!忙しいんでしょ!夜遅くにしか帰って来ないじゃない!!一生終わんないよおぉ!!」
私がぐずぐずと弱音を吐き続ける間、実弥はずっと慰めてくれた。
次の日の朝、やはり仕事に取り組んでまた引っ越し先とを往復して地道に引っ越しを進めていく。
午前中だけしか仕事にあてられないので、朝の四時おきで何とか踏ん張っている。
その代わり、夜は十時とかに完全に寝落ちるけど。昨日は実弥に愚痴ばっか言ってて、テーブルに突っ伏してわんわん泣いてたはずなんだけど、気づいたらベッドにいた。運んでくれたらしい。優しい。好き。
引っ越し作業を開始して、また憂鬱な作業に取りかかった。