第13章 憩い
絶景も見たし、甘いものも食べたし。あの後、ホテル周辺を散策したりして、やっと部屋に戻った。
「……」
スマホとやっと再会できた。特に大切な連絡も入っていない。
少し、疲れたのだろうか。何だか元気が出ない。
温泉に浸かればいいかと思ったが、全然良くならない。先ほどの、家族の様子がやけに頭にこびりついていた。
「大丈夫?」
温泉から上がっても何だかぼんやりとしたままの私を須磨さんが心配してくれた。
「のぼせちゃった?」
「いえ、大丈夫です。」
そうは言ったものの、全然良くならない。
晩ご飯もあまり食べられなかった。
そんな私を三人とも心配してくれた。
ああ、うじうじめんどくさい。折角の旅行だし、実弥も気をつかって送り出してくれたのに。何であんなことでこうなっちゃうんだろう。
「ちゃん…あのね、ちょっと良い?」
「…はい…?」
何気なく振り向くと、三人とも決心を固めたような、真剣な顔をしていた。
「私達…この旅行を計画するとき、天元様から言われて、わけもわからずにいたわ。」
「でも、ちゃんを連れていくからすっごく楽しいものにしようって計画したの。」
…何の話だろう。
「だから、何かあったら何でも言ってほしいの。解決できないかもしれないけど!!私達、女だし不死川くんや天元様には言えないようなことでも、遠慮なく相談して!!」
最後に須磨さんが言った。
私はぽかんとして、しばらく黙っていた。
………相談。
相談、か。
あのこと…あの夜、初めて実弥にあのことを打ち明けた。
最後は喧嘩になった。
実弥が怒鳴って、テーブルを叩いて。
たしかにあの夜、限界を感じた。
…私たちは、終わるんだって。