第75章 安らぐ悪夢
キイッと音がした。
相変わらず暗闇だが、先ほどまでの気持ち悪さはそこにはなかった。………が…泣いていて、何か話していたけど、記憶には残っていない。
あ、ああ。そうだアイツはどこだ?探さねえと。泣いてたんだ。
立ち上がりたかったが、体が動かなかった。さっきまで走っていたのに、なぜか俺は今寝転んでいた。
戸惑っていると、トタトタと音がした。それは誰かの足音だとわかった。
音がした方に目を向けると暗闇に人影が見えた。
「…」
見慣れたその影に、微笑みかけた。
ふわりと俺に柔らかいものがかかる。
「……あァ、布団持ってきてくれたのか」
暖かい。ただ寝転んでるだけだと寒いから。
「…一緒に寝よう、なァ……」
その腕を掴むと、は俺の横に寝転んだ。
「………。久しぶりな気がする…。」
ぎゅっとその体を抱きしめてやると、暖かくて心地が良かった。
「……夢、で…も」
……。
「……会えて良かった」
自分の目から一粒の涙が溢れる。
そのまま目を閉じて、温もりを感じながら俺は眠りについた。