第75章 安らぐ悪夢
話し込んで来るうちに、随分と遅い時間になった。
「……。阿国、お前も神社まで送るから準備しろ。」
俺がそう言うと、阿国は顔をしかめた。
「やだ。帰りたくないです。」
「アホか。帰らないならどうすんだよ。野宿か?」
「泊っちゃダメですか?」
「は!?」
とんでもないことを言い出すので、俺は夜遅いのにもかかわらず大きな声をらしてしまった。
「親に会いたくないの。兄さんがいないと家つまんないし。」
「ふざっけんな。何が何でも帰れ。」
「ええ?生徒と先生だから?でも、出勤時間終わってますよね?」
「普通に人間としてまずいんだよ!25歳の野郎が14歳の女を家に泊められるわけねえだろ!犯罪だぞ!?」
「大丈夫です。私ここに来るまで誰にも見られてないもん。何かあったらさんのふりする。」
「アイツがどんな変人でもセーラー服は着ねえよ!いつコスプレに目覚めたんだよ!?」
阿国はじいっと俺を見つめてくる。その目があまりにもにそっくりで、怯んでしまった。
そのすきに阿国はソファーから立ち上がってベランダの窓の方へ移動した。
「叫んでやる」
「は」
「変態教師にピーーなことされるー!!って叫んでやる」
「お、おい、阿国」
阿国が窓に手をかけるので、俺は慌てて止めた。
「………このままキャーーーって叫ぶのもアリかなあ…」
じーっと阿国は俺を見上げてくる。
「脅す気か、お前……。」
「……。」
俺は頭を抱えた。
「わかったよ、泊まれよ…」
阿国はにこーっと笑って、満足気に頷いた。