第13章 憩い
「ーーーーーッッッ!!!!!」
慌てて飛び起きた。
体を触って確認する。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いッ!!!!!
吐き気が襲う。部屋のトイレを使うのが何だか申し訳なくて、私は一目散に外の共同トイレで胃の中のものを吐き出した。
吐き気が収まってから、クリーナーでトイレをきちんとふき、手と顔を洗って、口をゆすいで、水を自販機で買って飲んだ。
何だ、あの夢。
斬ら…れた、よね。
血が、だらだら流れて、まるで、死んじゃうみたい。
勘弁してほしい。自分を死ぬ瞬間だって、思い出したくないんだ。
だって、私は“二度”死んだ。
人間として。鬼として。
鬼なんて、死んでも死んでも甦る。
もう、死ぬなんてごめんなんだ。
部屋に戻ると、皆起きていた。
帰ってきた私をみて三人ともギョッとした。
「ちょっと!急に飛び出しちゃって、ビックリしたじゃない!」
「うえええ~ん、もう帰ってこないかと思いました~!」
「顔色が悪いけどどうかしたの?」
皆が心配してくれていたけれど、何と言えば良いかわからなかった。
「何でもないです、すみません、起こしちゃって…」
私はそう言うしかなかった。
「……ちゃん…」
雛鶴さんが何か言いたげだった。それは他の二人も同じこと。
だけど、答えられない。
私だって、よくわからないから。