第73章 どしゃ降りの雨
昨日何があったのか、結局俺たちは誰にも言わなかった。
『霞守くんに何かあったとしても、妹さんがとめると思うの。それに、水曜日は過ぎたわ。』
胡蝶は冷静にそう言ったが、その顔には確かに疲れができた。巻き込んで申し訳なかった。
何はともあれ、阿国に言われていた水曜日は過ぎた。が死ぬことがもうないはずだ。あの出来事と全く関連性がわからないが…。
悲鳴嶼さんも俺たちを信じて何も聞いてこないし誰にも言ってないみたいだし…。
そこまで考え込んだところで、チャイムが鳴った。目の前の生徒たちは鉛筆を置いてため息をついたり、伸びをしたりしてリラックスしている。
「……名前を確認して後ろから答案用紙回すように。」
俺がそう言うと、全員声を揃えて返事する。
はあ。期末試験の監督ってのはいけねぇな。
考え込む時間がたくさんあるし、空気はピリついてるし。
今日と明日は文系科目だが、明後日からは理系科目……俺の担当する数学がある。
ぼうっとしてばかりではいられねえな。