第11章 旅行
部屋から出て、消灯された真っ暗な廊下に出た。
「もしもし…」
実弥からの電話に出るためだ。
『……須磨さんからそこそこ悪意のある写真が送られてきたんだが…ありゃどういうことだ。』
「いやぁ、私もとられてるとは思わなくて…メンゴ」
『ふざけてんのか』
「それは謝る」
『ふざけてたのかよ』
電話の向こうから大きなため息が聞こえる。仕事終わりでお疲れだろうに、何だか申し訳ない。
『で、他に誰かいたのかよ?』
「えー?須磨さん達だよ?」
『ちげえよ。他の客だよ。男とかいなかっただろうな。』
「男?ああ、なんか大学生みたいな子達がいたけど、私達より先に帰ったよ。」
実弥が黙る。
『アホかテメエ!!二度と卓球すんな!!』
「ええ…!?何?何キレてんの??」
『黙って牛乳だけ飲んでろ、いいな!』
そこで実弥が電話を切った。
……?意味わかんない。自分からかけてきたくせに。
部屋に戻って、まだ起きていた三人にその事を言うと三人とも何かを察したように笑っていた。
「ちゃん、愛されてるね」
まきをさんにそう言われたけど、いまいちわからなかった。