第11章 旅行
旅行に私を連れ出す理由は触れるな。とりあえず行け。
と、宇随先輩に言われました……………。
「宇随先輩のばあああああーーーーーかあああああーーーーー!!!!!」
海に向かって叫ぶ私を、三人は苦笑して見ていた。
車でみんなで運転して、えっちらおっちら、リゾートホテルまでやってきた。そこに海があって、季節的に泳げないけれど一発叫びたくて来てしまった。
「ごめんなさい、ちゃん。理由は私達もわからないの…。突然、数日前に天元様から、あなたを遠くに連れ出してやってほしいって言われて…。」
「計画したり宿確保するのに時間かかって、当日言うことになったの。なるべくはやく…って催促されていて。」
「うわああん、ごめんなさい、私が予約するホテル間違えちゃったからあ!!」
三人が先程からずっと同じことを繰り返している。
「……まあ、宇随先輩がいきなりそんなことするわけないから、原因は実弥なんですけどね。」
「やっぱりそうなのかしら…。」
「……………。」
気づいていないわけじゃない。
実弥が、隣で眠るとき、少し嫌がっていること。ほんの少しだけ、今の関係に気まずさを覚えていること。
気づいていないわけじゃない。
だって、私も全く同じことを考えているから。
「………一度、離れてみようってことなんだろうな…」
誰にも聞こえないように呟く。
多分、あの飲み会の時に宇随先輩に相談でもしたんだろう。帰ったとき何かイライラしてたもんね。おかえりって言わないで、まず私への文句だった。あれってけっこうレアなんだよね。