第6章 陰鬱
ベッドで横になってあったことを話していると、涙が垂れ流し状態だった。
実弥が困り顔でタオルで拭いてくれた。
「飲みすぎだ、バカタレ」
泣き上戸なことは同棲する前から知っていたはずだ。けれど、慣れないらしい。
「ソウデスネ…」
「はー…しっかし、とんでもないクズ野郎だな…。」
実弥は怒っているようだった。
「会ったこともねえくせに何が俺一人じゃもったいねえだ、クソ」
イライラする彼に、ちょっと気になったので聞いてみた。
「実弥って、私に浮気してみろって思う?」
あの人の言うことが何となく。
ほんのいたずら心だったのだが、実弥はピタリと動きを止めた。
あ、これは少しまずかったなと思ったが、どうにもできずにいた。
「はあァ?ぶっ飛ばすぞテメエ。」
彼は私の涙を拭いていたタオルをパシッ、と私に投げつけて、そのまま背中を向けてしまった。もう寝ようとしているらしい。
嫌に湿ったタオルをとって、私はさっさと寝室から退室した。怒った実弥には近づかないのが一番だ。
ああ、またやってしまった。だいたい喧嘩の原因って私なんだよな。
軽率な質問をしてしまった。申し訳ない。まあ思うわけないよな~…。
でもほんのちょっぴり、私はこの現状が後ろめたいから。
本当に、実弥は、私とこのままでいたいのだろうか。