第41章 隠し事
ハッとして目を覚ました。
そこには実弥がいた。
「………?」
実弥はキョトンとしていた。
「全然起きねえから起こそうとしただけだぞ」
「……え?」
「どうしたんだよ……?」
実弥は私に手を伸ばしていた。
その手を、私はぎゅっと握っていた。
そんなつもりはないのに、凄まじい力で手を握りしめていて、慌てて離した。
ほんの少しだけ実弥の手が赤くなっていた。
「…今の」
「あ?」
「………ハァ…」
またあの変な夢だ。ここしばらく見ていなかったから、油断した。
………何か、夢か現実かわからなくなっているような…。
「お前…どうしたんだよ」
「…何でもない……何でもないから…」
あの夢を見ると疲れる。
鮮明に覚えているわけでも何でもないが、とても気分が悪い。
…春風さんが言うみたいに、夢日記をつけようかな。
「何でもなくねえだろ」
実弥がじっと見つめてくる。
「……本当に何でもないよ。」
私は笑って答えた。
夢の内容については、まだ私も整理が出来ていない。話すのは難しいかもしれない。