第37章 再構築
その日の夜は、二人で久しぶりにくっついて寝たのだが……。
なかなか二人とも眠らなかった。
「ねえ、お腹触らないでくれる?」
「あ?」
実弥は面と向かってくっつくのがいやなのか、後ろから抱きついてくることが多いのだけれど、必ずと言っていいほどお腹に手を当ててくる。
「細くて心配になるんだよ、お前。それに、よく抜け出して自分の部屋に行っちまうし。」
「細いは余計だ!誰しもムキムキになれると思うなよッ!!」
私は怒ってそう言うも、実弥は笑って流した。
私はむっとして実弥が嫌がるであろうことを言った。
「はっ、そうだ!!おはぎが実弥の胸筋の上ふにふにして遊んでる可愛いところ見ちゃったんだけど!!しかも実弥ったらほっぺたすりすりしてた!!私もふにふにすりすりしたいんですけど!!」
「何で見てんだよ!?」
「壁に耳あり障子に私だからね!?」
「ことわざちげえし、この部屋そもそも障子なんてねえよ」
実弥が明らかに嫌そうにしている。むふふ、ざまぁみろ。
「ふん……じゃあ俺からも言わせてもらうが…お前も俺が寝るまでぜってぇ寝ないじゃねえかよォ」
「む、やり返そうと言うのかね」
「当然の報いだ。」
実弥はそこで大きな欠伸をした。そろそろ眠る頃か。
「な~んか、癖になってるみたいなんだよね…。」
「何がだよ?」
「人が起きてると寝にくいんだよね。修学旅行とかも全然眠れなくて困った。」
「……何か感じるからか?」
「うん、人の気配があるの落ち着かなくて…。」
私がそう言うと、実弥が私のお腹から手を離した。
「俺のも落ち着かねえのか」
「あのね、寝ても覚めてもそこかしこでザワザワしてるんだから関係ないよ。」
「そうか…。俺、お前の寝顔見てぇんだけど。」
「はい?」
「俺がいつも早くに寝るから、見れねえんだよ。寝たと思えば車で俺が運転してるときだしよォ。」
「そんなこと言われましても。」
一応頑張ってみたのだが、全然眠れなくて気づけば実弥が寝ていた。
(やっと寝た)
そして、またいつも通りそのあとに私が眠った。