第37章 再構築
「変な夢?」
春風さんが驚いて振り返る。私は初めて、時たま見てしまうあの夢について話した。
「夢の内容を聞くに、どうも理解できませんね。あなたはほとんど内容を覚えていないではありませんか。普段見る夢と何が違うというのです。」
「でも、体を斬られたり、首が斬られた人が出てくるなんて変な夢です!!」
「うーん、共通点として、その…“阿国”という女の子が出てくると?」
「出てくるというか…私がその“阿国”っていう女の子になっているみたいで、私がその子の視点にいるんです。」
「はあ、それで変な夢ですか。」
やっと納得してくれたようで、真剣に話を聞いてくれるようになった。
「……その“阿国”という人物、何だか聞き覚えがあるんですけどね。」
「えっ!?そうなんですか?」
「うん、人づたいに聞いたんですよ。だれでしたかな。恐らく前世で、なんですけど。」
しかし全く思い出せないようで、春風さんにしては珍しいなと思った。だけれど、春風さんは前世の記憶がはっきりしていないことが多い。あまり思い出したくないというのもあるのだろうか。
「まあ、気のせいかもしれませんしあてにしないでください。そんなに気になるのであれば、夢日記でも書いてみてはどうですか。内容を記録しておくのです。」
「はあ、何か分かりますかね。」
「保証はしませんが、気になるのであればやってみる価値はあるのではありませんか?それよりも、明日は日曜日でしょう?実弥くんと連絡は取っているのですか?」
そう言われ、私は慌ててスマホに目を落とした。待ち合わせ場所の確認をしていた。
「あ、とりあえず帰れるのなら帰って来いとのことですから、とりあえず明日は帰ります。」
「よろしい。ならば明日の朝の10時には到着するとお伝えください。」
「はい…。?なぜ10時なんですか?」
「ええ、プロフェッショナルの都合上その時間が限界なのですよ。」
「プロフェッショナル???」
私が詳しい説明を聞こうとしても、全く教えてくれなかった。なぜだ。