第36章 夜の夢ー自刃ー
お館様は少し間を置いてから、懐からあるものを取り出した。
「……鬼殺隊を去る前に、縁壱から預かった手紙だ。…もう阿国は生きられないと縁壱は悟って、これを阿国とともに埋葬するように言われたんだ。…内容は見ていない。けれど、お前に当てた手紙だよ。」
「…縁壱さんから。」
「…寝ていなさい、私が読んでも構わないかい?」
私はうなずいた。
お館様は手紙を開いた。
「『阿国へ…』」
私はその手紙の内容を聞いていた。
それを聞いて、自分の愚かさを思い知った。
師範だけでない。
私は、縁壱さんにも寄り添えなかったのだと。こんな惨めな状態になって、初めて理解したのである。
私は。
私は、愚か者だ。