第22章 先へ
私は飛び起きた。
時刻はぴったり四時。ああまた変な夢見てたみたい。あんまり覚えてないけど、なんかいい内容だったっぽい。
「……。」
実弥は隣で寝ている。…引っ越すと、寝顔も見られないのか。何だか寂しいなぁ。
「次の土日で完全に出ていけそうだよ。」
私がそう言うと、実弥は焼いただけのパンをコーヒーで流し込んで頷いた。
「じゃあ、金曜の仕事終わりから俺も手伝えるわ。悪かったな今まで。」
「それは本当にそう。」
「すまん。」
「好きだから許す。」
真っ赤になって黙るのが実弥のお決まりである。
「でも寂しいね。四年間…ぐらい?ここで住んだのって。」
「そうだなァ。どんなに怒鳴って喧嘩しても、誰も苦情言わないでくれたし、いいとこだった。」
「皆、賑やかねえって挨拶してくれたよ。」
「人も良かったな。」
何だか朝からしんみりとしてしまった。
向こうの家具はあらかた揃えた。こちらの家具もほとんどない。ベッドもすぐ引き取ってもらうことになる。
いつまでも住むことになるとは思ってなかったけど、引っ越しって寂しいな。