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キメツ学園ー未来編【鬼滅の刃】

第21章 夜の夢ー幸せー


「やはり、女の格好をすると可愛らしく見える」


巌勝様は何の脈絡もなく言った。その手を握れば、何も言わずに握り返してくれた。


「お前はそれでも私と来るのか」


そう言われ、私は黙って頷いた。

鬼殺隊に入ること。それを覚悟して。


「そのような着物とは縁のない道を行くことになるのだ。」

「かまいませぬ。」

「……なぜ?」


私は答えた。


「その道は巌勝様がいらっしゃる道にございます。」


巌勝様は、少し立ち止まった。が、またたくましく私の手を引いて歩き出した。


「道を行くのは私だけでない。」

「私も行きます。」


それから、その話はぴたりとしなくなった。


「して、そういったものは好まぬのか。あまり嬉しそうではないな。」

「……巌勝様が何もおっしゃらないので、とても不安にございます。」


巌勝様は私を見下ろして、言った。


「可愛らしく見えると言わなんだか。よくお前に似合っていて、綺麗だ。」


改めてそう言われた。

頬が緩むのがわかった。


私はぎゅっと巌勝様に抱きついた。


「嬉しゅうございます。阿国は幸せ者です。」

「……」

「えへへ」


巌勝様はそっと頭の上に手を置いた。

町から離れ、本部に近づいたところで巌勝様が足を止めた。


「皆に見せて来るが良い。私は先に帰る。」

「巌勝様は行かないのですか?」

「良い。任務までしばし休む。帰りは縁壱に頼め。手を繋いで帰るのだぞ。」

「はい。」


私はにっこり笑った。

本部にはたくさんの人の気配がした。


私は着崩れないように走り、本部の中に入った。


「皆様、見てくださいませ!」


集まった柱たちの前に躍り出ると、皆たくさん褒めて可愛いと言ってくれた。そして、誰よりも隅にいたその人のところへも向かった。


「見て、見て、縁壱様!巌勝様がくださったのです!のっそりとした女店主が着せてくださいました!!」


双子の弟、縁壱様は巌勝様と同じ顔をして、同じように頭を撫でてくれた。
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