リセット~running start again~
第16章 予選会への切符
最後の記録会の当日朝
公認記録は残るは王子くんのみ。
朝、私は王子くんに声をかけた
(今なら話しかけても大丈夫かな)
「王子くん。今、いいかな?」
王子「あっ。さん」
「緊張するよね。何と言ったらいいかな・・・その・・・」
王子はクスッと笑って「言わんとしてることは分かってますよ。僕は僕のやることをやるだけです。」
「うん。」と一言。少し間を空けて「私ね。王子くんは本当にすごいなって思ってるんだよ。清瀬くんの悪魔の囁きがありながらも、いつだって断ることだってできたのに今、こうして走ってる。自分の意志でしっかりと。」としっかりと王子を見据えて伝える。
「頑張れとはもう言わないよ。一緒に走っていこうね。」
んーと思案し「腕を出して」といい、王子は腕を出す。
私は油性ペンを出し、王子の腕に何かを書いた。
王子「ありがとうございます。行ってきます。」
予選会の結果は清瀬くんからメッセージをもらうことになっている。
模試が始まる頃に、王子の記録会が始まる。
そわそわして、模試どころではないよ。
一方、会場では異様な空気が流れている。
王子「何ですか?言いたいことがあるからどうぞー」
すると、皆は王子に腕を出すように言い一人一人書く。朝のデジャヴである。
王子はメッセージを見て笑った。
王子「さんも同じようなこと書いてて。」
両腕を出し、アオタケメンバーは『前へ!!!』と書いてある。先客は『一歩前に!』言葉のあとに謎ののっぺりとした顔の熊が書いてある。
神童「何で熊の絵だか分からないけど、さんらしいね。」
走「まぁ。そうっすね」
そしてスタートとなる