【鬼滅の刃】【不死川実弥】だからこそと言えるように
第11章 ここから
結衣
『な、なにをえっと急ですね』
明らかに焦っているのを隠しきれず声も裏返ったし。
何をそんなに焦る必要がある。
実弥
「お前の兄貴を冨岡と呼んでんだけどよォ、そしたらお前のことをどう呼ぶか悩んでんだよ…。」
少しそっぽを向いている不死川さんにちらりと目線を送ると、少し頬が赤かった。耳はもっと赤かった。
恥ずかしい…?の?なんで??
結衣
『まぁ、適当に下の名前で呼んでくださればいいのでは?』
実弥
「いいのかィ?」
いや、なんかそんなに気にすることある??
結衣
『何か気にする事ありますか?』
実弥
「恋人とかいたら勘違いするかもだろォ」
…!?
結衣
『ふふっ…』
吹き出してしまった。てか、止まらない。笑いが収まらない。
結衣
『ふふふふっ…ははっ…ふぅ…大丈夫…ふふっ』
実弥
「…吹き出してんじゃねぇかァ、何が大丈夫だィ」
結衣
『だって…不死川さんそういうこと気にする人だと思わなくて…ふふっ』
楽しい、こんなに大笑いしたのいつぶりだっけ。
結衣
『恋人なんて居ないですよ。好きな人すらいないですもん。なのでお気になさらず』
実弥
「…そうかィ」
少しニヤリと笑った不死川さんは不思議だったが、まあ、自分の師範と距離が縮まったのなら幸いだ。
てか、寂しさからお話聞いてもらうとか急に恥ずかしくなってきた。自分で頼んでおいて…。
考えを拭うように私は話を続けようとする。
結衣
『そういえば、隊服っていつ届くんでしょうか?と言うより私の刀、預けたまんまなんですよね。鍛錬どうしましょう』
実弥
「あァ?刀預けただァ?先言えやァ!!」
あ、怒った。いや、確かに忘れてた。
実弥
「隊服は明後日届けられるらしいから待っとけェ。刀用意してくらァ、夕飯場所わかるか?」
結衣
『…一応…。でも少し不安です』
実弥
「なら着いてこい、軽く案内してやる」
実はもう御屋敷は大体覚えたのだが、まだ不死川さんと話していたくて嘘をついてしまったのは内緒。不死川さんの後を追うように部屋を出た。
殺と書いた初めは恐ろしかった背中も、今は逆に安心してしまう。