【鬼滅の刃】【不死川実弥】だからこそと言えるように
第5章 兄と錆兎
鱗滝さん
「……だか、それを義勇に言わなければならないな?」
うぐっ……痛いとこついてくるなこの人。
結衣
『……そうですね』
ああ……どうしよう。Yesって答えたら言わなきゃじゃないか!!逃げ道もねぇ!!
義勇
「ただいま戻りました」
あああああ!!戻ってきた!!え、どうしよ?
結衣
『お兄ちゃん!!あの!あのね!』
義勇
「あの話はもうするな」
あ、そっか……そう……だよね。
きら……われた……よね。
そりゃそうか……。
結衣
『違う!その、違くないけど!わ、私は冨岡結衣でしょ……?でいいんでしょ?お兄ちゃんが嫌なら私は冨岡結衣じゃないけど!私はお兄ちゃんがいなきゃダメ!!お兄ちゃんじゃないとダメなの!!』
もう、嫌だよ。家族から離れてしまうのは。家族を失うのは。お兄ちゃんに嫌われるのは嫌だ。
結衣
『お兄ちゃん……』
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義勇side
結衣
『お兄ちゃん……』
予想外だった……。俺はうだうだ悩んでいたが……。
もしかして前世があろうがなかろうが、結衣は確かに俺の妹として生を受けたのでは?いや、もしかしなくとも、結衣は俺の妹であることに代わりなんてない。
だったら、そんな大事な妹を泣かすなんて、兄失格じゃないか。
義勇
「結衣は俺の妹だ。他の何者でもない」
結衣
『あっ……うぅっ……』
しばらく、少女の嗚咽が部屋に響き続けた。
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結衣side
結衣
『お兄ちゃん!!遅いー!』
ガヒュンッ!!
そう罠を避けながら問いかけると
義勇
「結衣が早いんだってば!!」
そう返ってくることに……とても安堵する。
今の兄からはあの時のどす黒い悲しみの、怒りの色ではなく
楽しそうなそんな色がして。安堵する。