第2章 honey.2
バンバンと背中を叩かれる痛みにむせそうになる。
目尻に涙を溜めて笑う要素がどこにあったのか。
「いてぇよ!」
背中を叩いていた手を振り払うと彰はごめんごめんと謝って、顔を背けて今度はお腹を抱えて笑い出した。
これ、ぶん殴ってもいいのか?
せーの…。
ぐっと作った拳を振り上げた所で、やっと笑いを引っ込めた彰が真面目な顔でこちらを振り返った。
「…俺さ」
「なんだよ…」
いきなり真面目な表情になるので、何かあるのかと身構えてしまう。
「今までいろんな女装男子を見てきたが、どれもエグかったぞ」
だから何なんだ!
くそっ、身構えた俺がアホみたいじゃねぇか。
「で?」
「いくら女装してても女と見間違えるもんか?」