第2章 honey.2
歩だから…か?
一瞬の沈黙。
いやいやいや!
ぶんぶんと頭を振って考えを打ち消していると、痛いくらいに彰の視線が突き刺さる。
「さっきから何やってんの、まっすん」
「気にするな…」
頭を抱えてうつむく俺を哀れな目で見つめてくる彰。
「やっぱ女紹介しようか?」
「いや…夕食を用意して待ってる歩をほっておけねぇんだよ」
身の危険を常に感じるものの、嫌いにはなれない。
むしろ無邪気に見せる笑顔が可愛いというか…。
家で一人でいることが多かったせいか、妹か弟が欲しいといつも願っていた。
歩が家で俺の帰りを待っていてくれている。
玄関を開けて誰かが出迎えてくれる温もりが、素直に嬉しい。