第15章 【特別編】甘え日和。
「これって本当に効くんだー…」
…これって本当に効くんだ?
「はあっ?!どういうことだよ!!」
その言葉に慌てて首だけを後ろに向けると、指先で錠剤のようなモノを持って夕日にかざす歩の姿が視界に入る。
嫌な予感がして、その摘まれている錠剤のことを尋ねると、歩はニヤリと笑ってから口を開いた。
「び や くっ!」
……っ媚薬?!!!
そんなものどこで手に入れたんだと思うと同時に、クレープ屋で飲んだコーヒーが頭に浮かんだ。
「まさか…」
「うんっ!コーヒーに仕込んじゃった☆」
仕込んじゃった☆、じゃねえよ!!!
ぺろっと舌を出す歩に怒りが込み上げてくる。
このまま落としてやろうかと思ったが、怪我人にそんな真似は出来ないと俺の微かに残った良心がそれを止めた。