第11章 honey.11
突如、生物教室に響いた低く地を這う声色。
ピタリと動きを止めた変態教師。
俺はゆっくりと、涙で視界が歪んだ目で声がした方を見る。
そこには扉に体を預けこちらを睨む一つの影。
「……あゆ、…む」
久しぶりに姿を見た。
見た感じでは元気そうなその姿に、こんな状況でも安堵感がじわりと胸に広がる。
「…わざわざこのタイミングで入って来なくてもいいのに」
やれやれと緩く首を振った変態教師は、俺の中から自身をズルリと引き抜いた。
「ひ……っ」
その感覚にぶるっと体が震え、下半身の圧迫感がなくなったことで足の力が抜ける。
ガクンっと地面に倒れかけた俺の体を受け止めた変態教師は、顔色を全く変えずに歩と対峙した。