第7章 honey.7
「お前っ、何で!学校はどーしたんだよ?!」
歩との鉢合わせを避けるためにこの時間に帰ってきたのに、これでは本末転倒だ。
「行ってない…」
焦る俺とは対照的に弱々しい歩の声。
俺の服をきゅっと掴んだままで体を起こす歩の瞳が悲しげに揺れる。
「とりあえず、どけよ」
「…やだ」
やだじゃねーよ!
歩の下敷きになったままではあ、とため息をつく。
どーすっかな…。
泣きそうな歩を目にしたら、蹴飛ばすと言う選択肢は即座に却下だ。
本当、俺は甘いと思う。
でもそれは一応、親父から歩を任されたからであって、何の関係も無ければすぐに家から叩き出していたと思う。
…っとに、めんどくさい関係だ。