第1章 honey.1
しばらくそうして絡めあっていた舌が離れ、俺は大きく息を吐いた。
「はっ…満足、か?」
至近距離にある歩ちゃんの顔はトロンとしていて、これは俺の勝ちだななどと口角を吊り上げた。
それが逆に彼女を煽ってしまうとは知らずに。
「お兄ちゃんは…初めて?」
「あ?」
頬を蒸気させながらわずかに体をズラし、シャツの裾から白い腕を滑り込ませ尋ねてくる歩ちゃん。
「だから、こーゆうことするの」
敬語はどこに言ったんだと聞きたくなる彼女の口調はこれが本当なんだろう。
「初めてじゃねぇよ。
女なんて数えきれないほど抱いてる」
すぅっと体のラインをなぞられていく感触を感じながら、答えを返す。
「……へぇ」
何故か嬉しそうに笑う歩ちゃん。
「んっ!!」
次の瞬間、彼女の指先が俺の胸の突起を弾いた。