第5章 honey.5
あれからしばらくの間、俺は歩と距離を取っていた。
学校でも極力会わないようにし、家に帰ってはすぐに部屋にこもる。
まあ、食事の時はどうしても顔を合わせることになるのだが…。
先生の発音のいい英語を聞きながら、頬杖をつき外を眺めているとポケットに入れていた携帯が振動した。
「…?」
ロック解除をしてからメールを開くと、そこにはしばらくご無沙汰だった女からの名前。
……歩が来る前に数回ヤったやつだよな。
あまり記憶に残ってはいないが。
短い文面にさっと目を通してから携帯を閉じる。
なんとなく物足りない日々になっている日常。
離れれば何かが変わると思っていた。
男とヤるよりも女とヤる方が自然なことなんだよな。
久々に会ってみるか…。
暇つぶしにはなるかもしれない。