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月神の恋人 【鬼滅の刃 黒死牟 R18】

第9章 ※湯殿の恋契り※


恥ずかしそうに俯くキリカの頭頂に黒死牟の手が伸びた。簪が抜かれ、惣闇色の髪がさらさらと音を立てて背に広がった。

「洗ってやる・・・、そこに座れ・・・」

促され、覚悟を決めたキリカは桐の椅子に腰掛けた。湯を掛けられ、頭から足の指先まで、くまなく洗われていく。

(気持ちいい・・・)

全身を洗ってくれる手つきは、ひどく優しい。まるで壊れ物を扱うようだ。キリカは、うっとりと目を閉じた。

やがて。湯が全身の泡を流していく。温かい湯がキリカの緊張を少しずつ解していった。

「女性は・・・、冷え性が多いと聞く・・・。肩まで浸かるのだぞ・・・」

二人で浴槽に浸かった。キリカは黒死牟の足の間に腰を下ろしていた。恥ずかしくて、一度も振り向けずにいる。こうやって風呂に入るのは初めてだ。どうして良いか、よく分からない。

一方、黒死牟は全ての眼を閉じ、気持ち良さそうに湯に浸かっている。

(・・・・・)

肌と肌と密着しているせいだろうか、キリカは自然と昨夜の睦事を脳裡に思い描いていた。黒死牟の情熱的な視線、囁き、愛撫。頬がだらしなく緩んでくるのを感じる。

「ずいぶん・・・、良い色になったな・・・。そろそろ上がるか・・・」

「・・・っ!」

ぼうっとしていたキリカは、黒死牟の声に我に返った。身体を捻るようにして振り向く。いつも以上に艶かしい黒死牟の面差しが、キリカの心を妖しく乱していく。

「あの・・・・」

気付くと黒死牟の右腕を掴んでいた。

(私ったら何を・・・)

腕を掴んだまま、キリカは視線をさ迷わせていた。今、自分は何をしようとしていたのか。鼓動が跳ね上がり、こめかみの辺りがドクドクと脈打つ。

「あの・・・、いいえ、やっぱり何でもないです。気にしないでください・・・・」

「そうか・・・」

しばしの間があった。そうしている内にもキリカの胎内に生まれた熱は心を乱していく。

ばしゃんっ。

湯が跳ね、キリカの顔に掛かる。黒死牟はキリカに覆い被さるようにして口付けた。

濃厚な口付けに二人の纏う空気は一瞬で淫靡な色を増す。

「んっ、・・・はぁっ」

身体をピタリと寄せ合い、互いの唇を貪り合う。





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