第7章 ※梅雨籠の睦事※
「そんなに可愛らしい顔で・・・、ねだられたら聞かぬ訳にはいかぬな・・・」
キリカの身体を組敷くと、再び腰を動かし始めた。抽送を繰り返し、キリカの快楽をひたすら煽る。
「巌勝様っ・・」
哭き所を何回も突かれた。頭の中が真っ白になりそうな快楽の波が一気に押し寄せる。
「んぁっ、もうっ・・・、あぁっ・・・」
黒死牟のものが一際大きく膨らみ、キリカの胎内で弾けた。最後の一滴まで絞り出すように断続的に吐精した。
「キリカ・・・」
名を呟き、覆い被さるようにして腰を震わせる黒死牟の身体をキリカは愛おしげに抱き締めた。漂う黒死牟の香りに、うっとりと目を閉じた。
「愛している・・・」
黒死牟は僅かに身体を起こすと、キリカの耳元に唇を寄せた。低く甘い囁きが、キリカの胸を切なく軋ませる。黒死牟を抱き締める両の腕に更に力を込めた。
「私もです・・・」
毎日のように契りを交わしている。行為の度、愛おしさが増していくようだ。もて余すほどの愛情。身も心も境なく、溶けて、一つに混ざりあってしまえばよいのに、と思う。
髪に、額に、耳に、瞼に、頬に、そして、唇に。黒死牟が、これ以上ないほどの優しさで触れていく。
(巌勝様・・・)
抱き締め合う肌の感触と重みに安堵する。キリカの心に何よりも安らぎをもたらすもの。
もう悪夢は見ない。抱き締めてくれる愛しい人がいるから。ゆっくりと瞼を閉じた。
寝るような刻限ではないが、眠りの波に身を任せるのも良いだろう。
外は雨。静かに降り続ける雨の音は子守唄のように優しかった。