第2章 「交流と合流」
→左に行く。
俺は、左に行くことを決めて走り出す。はっきり言って、初めて通る場所で、不安だった。
だけど、賭けるしかない。きっと、逃げ道があるはずだ。後ろから、少女がゆらゆらと浮かびながら追いかけてくる。
「オニゴッコダネ。ワタシガ、オニダネ。ゼッタイニ、ツカマエルネ。」
捕まえるという言葉に、俺は息を呑み込む。捕まったら、なにされるかわからないという、恐怖感があったからだ。
俺は、歯を噛み締め前を向いてひたすら走る事に、集中していた。
床の陥没しているところを、避けながら逃げ続ける。そして、左に曲がり、すぐ近くにあった部屋に入る。
そこは、物置の部屋だった。扉を閉める。部屋は、意外に狭かった。もし、見つかってしまえば、俺は此処で死ぬかもしれない。
俺は、必死に息を殺す。だが…………。
「オニイチャン、ココニイルンダネ。ツカマエテアゲル。」
扉の向こうから、少女の声が聞こえる。俺は、大きく眼を開く。