第4章 「出口を探そう」
─柚菜─
私は、暫く廊下を歩いていた。今の所、誰にも会っていないし、あの幽霊みたいな奴にも会ってない。
それが、逆に怖い。もしかしたら、あの幽霊達に、捕まっているのではないかと思ってしまった。
私は、息を吐き出し首を左右に振る。その時、遠くの方からドタドタと慌ただしい足音が聞こえてくる。
私は、思わず息を呑み込んでしまう。しかし、遠くから走ってきたのは…………。
「せ、先輩ッ!!この先は、ダメです!今は、違う場所に目指しましょう!!」
そう、賢厘だった。私は、ポカーンとしてしまった。
そうしたら、賢厘は私の右腕を掴み走り出す。思わず転びそうになるが、ギリギリで立て直し、私も走り出した。
「け、賢厘。どうしてダメなの!?」
「あっちには、狂暴な犬が居ます!捕まったら、喰われます!」
「喰われ………。」
私は、言葉を失ってしまった。他にも、凶暴という言葉があるが………。
今回の狂暴は、やはり狂うという文字が入っていた。
余程、今までの犬とは違うのだろう、と考えてしまう。