第7章 【レオナ】King's love①
部屋に入り、レオナは背負っていた教科書を放り投げるとサユを優しく抱きあげて、定位置である大きなベッドに腰かけた。そっと髪を撫でてから、決まりごとのようにキスを交わす。
軽い甘噛みの後、しっかりと舌が入り込んできて、すぐに唇が離れた。
「お前、何であんなところにいたんだ」
少し不機嫌そうな声で尋ねられたので、寮に入って来られなかった事を説明する。
「馬鹿か、俺の女に手ぇ出す奴なんて、ここにはいねぇんだ。堂々としてろ」
「ラギー先輩にも同じこと言われました」
フンと鼻を鳴らしたレオナはもう一度、サユを抱きしめて、唇を奪った。
「そんで?ラギーと何話してた」
「えっと……夕焼けの草原のお話をきいてました」
「あん?なんだ、そのつまらねぇ話は」
レオナは一旦、サユの身体を離すと、身に着けていたいくつかのアクセサリーを外し、ラフな格好になって戻ってくる。
頼んではいなかったが、後からラギーが飲み物を運んできてくれて、ちょっと気まずい感じになったのはサユだけだ。
レオナもラギーも先ほどの事はもう微塵も覚えていないかのように振る舞っている。
再びすぐに二人きりになったレオナとサユ。
今度は、レオナがサユの膝枕で抱えられる形となった。
サユは、レオナの髪を撫でながら、今日の出来事を話す。時折クスクス笑うサユの顔を見てレオナは嬉しそうな顔を見せるが、当の彼女はそれに気づいていないようだった。
不意にレオナの手がサユの顔へと伸びたかと思うと、顎を掴まれ寄せられる。
軽いリップ音を立てて唇が重なるとレオナがニヤリと笑った。
「それで?なんで俺の話してた?」
レオナに鋭い眼光で見つめられて、サユは口ごもり頬を赤くしたのだった……。
To be continued……