第7章 【レオナ】King's love①
いつも見慣れた寮の前、サバンナ・アカシアの木の下で寮の入り口をジッと見つめてみる。
時折通過していく寮生に見つからないように木陰にちょっと身を潜めてみたりしながら……。
「あれっ?監督生くん?」
急に掛けられた声にビクッと身体が飛び上がり、そっと声の主の方へ顔を向けてみれば、数人の仲間を引きつれたラギーが立っていた。
「ラギー先輩……」
「レオナさんと待ち合わせッスか?」
サユが頷くと、ラギーは不思議そうな顔で首をかしげる。
「寮長会議が終わったら、会いたいから部屋で待ってろって言われて……」
そこまで説明したサユを見て、ラギーは数回大きく頷くと分かりきったような笑顔を見せた。
「ここまで来たものの、寮内に入りずらかったと」
ラギーの言うとおりである。
いつもならレオナと一緒に寮まで来ているため、一人でここまで来たことのなかったサユは、入り口付近まで来たものの寮生の柄の悪さ……大きさに一人で中へ入ることができなかったのだ。
「こんな所にいると、俺までレオナさんに怒られそうッスから、一緒に中、入りましょ」
ラギーに手を引かれ、サユはやっと寮内に入る事ができた。
「レオナさんの部屋行くなら、後でお茶でも運びますけど?」
「ここでいいです」
ラギーはひとまず談話室まで連れていき、レオナの部屋まで付き添おうとしたがサユから、談話室で待つと申し出があったため、一緒にレオナの帰りを待つことにする。
サユは、レオナの部屋も広くて好きだったが、この談話室が大好きだった。自然味溢れる風景と、何より流れる滝の雄大さが心をワクワクさせるのだった。
そんなサユの事を良く知っているラギーは、滝の傍にテーブルを用意させて、彼女用の席を作る。
入るのに躊躇していたサユではあるが……。
「まぁ、ここの連中は見た目がアレですけど、レオナさんのモノに手ぇ出すような馬鹿はいないっすから、安心してください」
そうラギーに言われて、頬を赤らめた。