第4章 【トレイ】Eat me②
サユが規則正しい落ち着いた呼吸をしていることを確認したトレイは、着替えを済ませて談話室へ出る。
そこには、グリムと戯れるケイトが待っていた。
「あっ、トレイくん大丈夫?」
「あぁ」
トレイはため息をついてソファーに腰を掛けると、猫のように丸まっているグリムを見て苦笑いを浮かべる。
邪魔が入らないようにとケイトが気を利かせてくれて助かった。
いくら獣とはいえ、サユのあんな姿、見せられたものではない。
「例のキャンディ、どうだった?」
「あぁ、効果覿面だったようだ。今はぐっすり眠ってるよ」
噂の媚薬の解毒剤と言われるキャンディーを偶然にも手に入れていたのはケイトの方だったが、トレイに咄嗟の機転で手渡しておいて正解だったと笑顔を見せた。
「それにしては、ずいぶん時間かかったみたいだけど~?」
トレイをからかう様な口ぶりでケイトは彼に迫ったが、さらりと躱されてしまう。
あんな彼女の姿を見たら我慢できるわけがないのは分かりきっているのだから仕方ない……羨ましい限りである。
「お礼は、食堂のお昼1週間分でいいよ~」
軽いノリで手を振って出ていったケイトに、再びため息をついたトレイ。
一度シャワーを浴びて、再びサユの眠る部屋へと向かう頃には梟がないている時間になっていた。
明日は甘いタルトで彼女の体力回復を……。