第2章 ありえない
うんうんと唸る涼香に、そういえばと光秀が問いかけた
「お前、名はなんという・・?」
「・・・あっ」
(そうだった、まだ自分の名前すら言ってなかったんだ・・!)
「すいません、名前も言わずに・・・!あの、私は神崎涼香といいます」
「かんざき、すずか・・・・苗字を持っているのか」
(・・・えっ?)
「持っているのかって・・・今どき持ってない方は居ないじゃないですか?」
(あれ、苗字は持ってるのが普通だよね・・・??)
持っているのかなんて聞かれたことが今まで無かったため、少し戸惑う
(それに確か・・・)
「戦国時代とか、江戸時代だったら苗字は武士とか貴族とかしか持ってい無かったはずですけど・・・」
そう言った瞬間、光秀の目が軽く見開かれた
(あれ?!驚いてるってことは違った??)
「ち、違いましたっけ・・すいまs((「今は、お前の言う苗字が限られた人間にしか無かった『戦国時代』だが・・?」・・・はっ?」
(どうゆうこと・・・??今は戦国時代って・・でも、)
チラッと光秀を見てみる
驚き方、声色、表情・・・どれも冗談を言っているようにはみえない
それにこんな状況の中で、わざわざ嘘をつこうとも思わないだろう
(でも、だからって本当かどうかの確信が・・・あ、でもそういえば)
先程、ここはどこかと聞いた時、光秀は『丹波』と答えた
坂本城を『俺の』と言った
電話は繋がらず、突然自分のいた場所が変わった
・・・・・・・・・・・・・・涼香の頭に、ひとつの可能性が浮かぶ
(いやでも・・・本当にあり得るとは思えない。けど・・)
この可能性が杞憂か確かめるため、涼香は1番手っ取り早い事をを光秀に問うた
「光秀さん、変なこと聞くかもですが・・・今は『何年』ですか・・・??」