第11章 そして賽は投げられた(銀魂逆ハ―シリーズ)
「じゃあ、サイコロ振りまさァ」
そう言って沖田さんがサイコロを手の中で転がし始めると、土方さんが、
「なんでお前さりげなく最初にやろうとしてんの」
と言えば、
「みんなァ、遠慮して誰も最初からやらねえなんて、やっぱ大人だよなァ器が違う!ここはしかたねぇ若輩の俺が泥をかぶりましょ。最初に振りまさ」
スラスラとそんなことを言う沖田さんに、土方さんは拳を振り上げつつも何も言えない。…近藤さんはただ「さすが総悟だ」と言って頷くのみ。あんたら振り回されすぎだろう。
カラカラと可愛い音を立ててサイコロが小さなテーブルの上を転がる。
四の目を出す。
私たちはサイコロからすごろくへと視線を移すと、沖田さんは十円玉を出して自分の膝の上の手作りらしきすごろくの上を滑らす。
四つ目のマスにはずいぶんと抽象的な言葉が書かれていた。
「いーち、にィ、さん、し…。
四は…『恒例のアレ』!すなわち席替えターイム!」
「ちょ、おま!」
どーーーんっと土方さんを座席から蹴りだし、私の手を引っ張って土方さんのぬくもり残るそこへと押しやった。
完全なる俺様ルールである。
「てめえ!総悟!!!」
不意打ちで思いっきり顔面を打った土方さんは今にも殴りかからん声色で這いあがって来た。
「悔しかったらゲームで勝負しな、ブタ野郎」
「この…!てめえがてめえのルールでやるなら俺も俺のルールでやる」
火花散る二人。
「…人生すごろくってこんなんでしたっけ?」
「…こんなんだろ?」
と言う近藤さんは、俺は最後でいいぞ、と土方さんにサイコロを譲る。
近藤さんがマイペースなのは、この二人のせいなんじゃないかと本気で思う。
そして、賽は投げられた。
あとがき
この辺で学園てんごくー♪と流れてきたら最高ですな。
ちなみに、この話は沖田さんが土方さんを「このブタ野郎」と呼ぶ口実が欲しくて書いていたりして。