第7章 雨やまぬ軒の玉水
その言葉を聞いた途端、カカシは地上に上がってきたミミズを見つけたときのように眉根を寄せて背中を仰け反らせた。
カカシの頭の中にもあのマスク事件が蘇る。
この生徒2人を撒くことは造作もないが、厄介•しつこい•面倒臭いの三拍子が揃っている。
それに今回はプレゼントを『本屋のあの娘』に用意している。
最近は昼も店に出ているようだから、任務が終わったら真っ先に渡しに行こうとしていた予定が狂うし、何より巻き込みたくない。
2人に根掘り葉掘り聞かれて彼女が眉を下げて"違うんだ"と話す姿が目に浮かぶ。
まだ何も名前のつく関係性が無いうちから赤い糸を切り刻まれては困る。
「おおおおおオレってば、ラーメン食べたい!カカシ先生おごって!!」
「先生!丁度お腹も減ってきたし一楽行きましょうよ!」
キラキラ、もといギラギラとした視線で見つめられてはカカシも逃げられない。
絶対に確実に何かしら企んでるし怪しさ満点だが、これから暫くは一緒に任務も少なくなるだろう7班を考えてそれくらいはとつい了承してしまった。
さぁこの後どうつけてやろう?と策を巡らせている2人は一楽でラーメンに舌鼓をうっていると、いつのまにかカカシは代金を残して消えていた。
「あぁー!!!やられたってばよ!!」
「絶対に次は見つけてやるわよ!」
数日後、サクラが街で見かけたのは日の光を受けて水色を反射させる雨のように連なる雫の耳飾りをつけた女性だった。