第1章 隣の音
もっと見たいっ・・・気持ちいいだろっ
目を瞑るとまるで自分に言われてる気がする
くちゅくちゅ、と手はどんどん動く
らめっ、そこっ・・・あんっ・・・
思わず興奮して声が出る
まるでその声に反応するかのように、彼の声も聞こえてくる
ああ、いいよ、すごく、いいっっ!
部屋の中には私の甘い声とグチュグチュの水音、それから彼の声だけが響く
彼の
逝けよ、
って声で
ひゃぁん、ぃくっ、イクぅっっ・・・
って逝っちゃった
興奮して思いっきり逝っちゃった私はぐったりとソファーに突っ伏したままうとうととしてしまう
隣からの音声はとっくに聞こえなくなっていたのも気が付かずに・・・
ピンポーン・・・とチャイムの音で目が覚めた
ん?あれ?時計を見ると10時
誰?今頃・・・?
不審に思いながら覗き孔を見てみると冴えない感じの青年・・・
あれ?この人・・・?
はい?
あ、隣の村木です。昼間に大家さんから書類を預かって・・・
あっ、あの声のっ・・・
慌ててドアを開ける
あ、これ・・・っっ///////////
彼の顔を見て自分の格好に気がつく
寝ぼけたままで出てきた上、さっきの行為でかなり乱れた格好・・・
わっ////すみませんっ
慌てて私はドアを閉めて身なりを直す
すみませんっ・・・そっと再びドアをあけるとにこやかな笑顔で彼が待っていた
こちらこそ夜分にすみません。昼間に大家さんから預かってて・・・
ここに判子が欲しいそうなんですけど、昼間いないからって預かったんです。
そうでしたか。ありがとうございます。
いま、判子貰えれば僕の分と一緒に明日大家さんに持っていくので・・・
ありがとうございます、ちょっと待ってくださいね
私が書類を読んでいる間、かれの目線が私の身体を這い回り、そして口角が上がるのを気が付かなかった
じゃ、これで・・・
はい、確かに
彼はペコリと頭を下げ隣の部屋へと帰っていった
あんなに大人しそうな地味な人なのに、女の人への願望は・・・強めなんだなぁ
なんて馬鹿な感想を浮かべながら疲れた身体を癒すべくベットへと倒れ込んだ。