第5章 小鷹狩澄真
『あのさ。小鷹狩。』
「なに?」
『小鷹狩って、どういう人が好き?』
気づけば、そんな言葉が口から出ていた。
しまったと思う時にはもう遅くて。何か、もう取り返しがつかなくなっちゃったなって、腹を括った。
「…。“どういう人が好きか”…。」
(出た…読み込み中モード)
小鷹狩澄真は、たまにフリーズするときがある。
彼の頭の中は複雑で、私には分からない、たくさんの情報に溢れているから、返事に時間がかかるのだ。
だけど、私は小鷹狩のそういうところが好き。
時間をかけて、ちゃんと答えを出してくれるから。
しばらく黙り込み歩いていると、読み込みを終えた小鷹狩が口を開いた。
「…“鳥とか好きな人”」
うーん、これまた彼らしい返答。
『鳥とか好きって、どういうこと?動物愛護精神…的な?』
考えてみたけど分からない。
鳥が好きな人ってどんな人だよ。
ていうか、鳥が好きな人を好きなお前も、どんな人だよ。
すると突然に、小鷹狩は私の腕を掴んで、
通学路から逸れた道を一目散に駆け出した。
「ちょっと、来て」
『うわわわわわっ、ちょ!なになになになに!?』
(こいつ足が早い!…足が、足が早い!)
入学式の時のアレはなんなんだ!?
またもや混乱する頭と、しっかり息切れする自分の肉体…
ただただわけも分からぬまま、
私の手を引く小鷹狩に必死についていった。
*