第5章 小鷹狩澄真
「センパイ…おはよう」
朝日が反射してきらきら光る、彼の赤い髪の毛。
『ねぐせすごいよ?』
「ああ、時間なかった」
『ネクタイもぐっちゃぐちゃだね』
まだ眠そうな目。妙に低く色気のある声。
「一限目なんだっけ」
『また教科書忘れたとか言ってうちのクラス来たら、許さないからね』
「ふぁあ…」
『聞いてる?』
ただのあくびでさえもどこか色っぽくて、ちょっと目を逸らしてしまう。
小鷹狩澄真。1年2組の美少年。
端正な顔立ちの彼はフランスとのハーフらしい。
入学早々、その見た目で多くの人間の目を引いていた有名人だ。
しかし彼の突飛な行動は、集まってきた人間を驚かせ、次第に彼の周りにいた人間たちは少なくなっていった。
…しかしここに、その突飛さに惹かれ続けている者がおり。
(どうして私は1組なんだろう)
彼と隣のクラスの私、明穂 ななこは、
入学初日、彼とたまたま遭遇したことをきっかけに、こうして毎朝一緒に登校している。
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