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49番目のあなた【D.Gray-man】

第7章  嘘



「ふーーん。…まあ、貴族界は繋がりとか付き合いとか、大事だし?仕方ねえよな」

あからさまに不機嫌全開でブスッとしたディックは、頬杖をついている。

「そうなんだよね。ティキってうちより家柄凄いし。叔母様、そうゆうのに厳しくって」

「…てか、アイツのこと親しげに呼んでるんさね?」


さっきから、ディックの一言一言にトゲがある、気がする。
やたらティキの名だけ反応している。


「そんなこと!…あるかも、だけど」

「……手ぇ出されそうになったくせに…」

「そ、それは!!……何でだろうね」

「もっと危機感持った方がいいんじゃねーの?」



これは、もしかして。


「ねえ、ディック」

「何さ」

「…やきもち、妬いてる?」

「…」

「…」

「…」

「…」

「…な"ッ!」



だいぶ遅れて反応が出る。
今更になってディックの顔が赤く染まっていく。
言葉が見つからないのか、口をぱくぱくさせている姿は金魚のようだ。


流石の私も、わかる。
ヤキモチを妬いてくれていたようだ。


「そんなに心配してくれなくて、大丈夫だよ?」

「そういうんじゃ、なくて!俺は…そのっ」

「うんうん、私も大人だからね。自分の身は自分で守るよ。」

「アイツのことが…そう、気にいらないだけで!」


(か…可愛いっ!ディックに言ったら悪いし、怒られるから言えないけど、可愛すぎるっ!!)


いつも大人びているディックが、こんな風に取り乱すなんて。
普段饒舌な彼が、言葉に詰まり辿々しい。
こんな年相応の一面があったとは。
それに、私にヤキモチ妬いてくれるなんて。
嬉しすぎる。

にやけちゃ駄目、笑っちゃ駄目
耐えるんだ、私!



「ティキ、イケメンだったもんねえ」

「ぅ"…そんなこと知らないさ」

「でも、私の1番のイケメンはディックだからね?」

「!」

「ディックとこうしてる時間が一番好き。お茶会には行かなきゃいけないけど、なるべく早く帰ってくるね。」

「…」

「…ディック?」

ディックの反応がない。



「…いつ」

「え?」

「お茶会の日時、教えて。…あと場所も。」

「うん」

「…待ってるからな」

「ありがとう。じゃあ、招待状で確認してくるから、待ってて?」



そういうとすみれは席を立ち、部屋から出て行った。
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