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49番目のあなた【D.Gray-man】

第7章  嘘




舞踏会から3日経つ。
そう。舞踏会からの明後日が、今日だ。


ディックに会える。


バルコニーでの雑談は、叔母様に呼ばれるまでずっと二人で手を繋いでいた。
ディックに握られていた自分の手を見つめる。




『…俺も、すみれに幸せになってほしいさ』



まだ14歳なのに、大きくて骨張った手をしていたなあ。
少年ではなく、男の手。だった。


かあーっと頬が熱くなる。
舞踏会での出来事を思い出す。

(いやいや!かあーって!!平常心、平常心…)



これからディックが来るのだから!変な事考えない!と自分を叱咤し、久しぶりに使われるだろうディック専用のティーセットを定位置へ並べる。

それと、机には今日読みたいと思っている日本の文献と、新聞と…

(今まで、新聞は全然読まなかったのになあ。)



そう、今まで新聞なんて視界に入れすらしなかったが、最近は忙しくても毎日必ず目を通すようにしている。

(ディックの影響なんだよねえ)


『新聞でおおまかな世界の動き、出来事がわかる。情報は常に最新じゃないと意味がない。…ま、100%正しいとは言えねえ時もあるけど、“出来事”には間違いないさね。』


最後のセリフはいまいちピンとこなかったが、新聞が正しくない事を書くことなんて、あるのかな?
新聞も読んでみるとなかなか面白い。


(こんなすぐ、ディックの影響受けちゃって…これじゃあまるで、ディックのことを好ーーーーー)















「…よっ!来たさ♪」

「うわあああっ?!」

突然、窓枠から顔を出したのは、待ち焦がれたディックだった。
…ほんとに突然前触れなく、にゅっと出てきた‼

思わず持っていた新聞を強く握り締めてしまい、くしゃくしゃっと音が立った。


び、び、びっくりした……?!


「そんなに驚かんでも」
なんかデジャヴだな、とディックは笑っている。

「ディック!」
脅かさないでよ!とすみれは怒った素振りをするも、笑っている。


ああ、ディックだ。
ずっと会いたかったディックだ。


「時間なんて言ってないのに、こんな準備してくれたんさね…待った?」

「ううん、待ってないよ。ティーセットやお茶は、もう定番じゃない!私が嗜みたいの」


本当はかなり前から待っていた。
私が会いたかったから。
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