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49番目のあなた【D.Gray-man】

第6章  願わくば




ディックの顔をチラッと見てみると、ぽかんとした顔をしている。

「…私、そんなに変なこと言ったかな…?」

「いや、違うさ!なんつーか、その……ほんと、その通りだなって、思ってさ。」

そうさね、なんて一人で噛み締めて呟いている。



「…初めてディックと会った頃、ディックって愛想良いけど掴みどころないし。ニコニコしてるけど、なんか冷めてるなあって思ってた。」

「え゛っ?!俺ってそんな風に見える?!」

「前はね。今は冷めてるようで、沸々とした本当の気持ちを秘めてるような……そんな風に見えるようになった、かな。
…赤ちゃんの話になった時、特にそんな風に感じたかな?」


ディックは目を見開き驚いている。
……私、また変なことか失礼なこと言ったかな。
内心、冷や冷やしながらディックをじっとみつめる。


すると、ディックは力が抜けたかのようにずるずるとその場に座り込んだ。

え?!

「ディック?!どうしたの?!」



「……すみれは、とんでもねぇさ」

「え?」

「…俺にすら隠してる俺の本心を、見抜いちまうんだな」

俺もまだまださね、と深いため息を1つ吐いている。



「見抜くつもりで見てるわけじゃないよ。何となく…そう、何となく、そう感じるようになっただけ。それだけディックと一緒にいるってことだよね」

「そうさね〜…何だかんだ、結構一緒にいるよなあ」
ディックはパンパンとホコリを払い立ち上がる。



「私、ね。ディックと知り合ってから、以前より充実した毎日を送ってるんだよ。…だから、ね。ディックは私にとって、大切な人だよ。


ディックが嬉しそうにしてれば私も嬉しいし、悲しまれたら私も悲しい。



…そんなディックのいる“世界”を、“こんな世界”って、言われてちょっと寂しくて」


ディックを見上げると、また驚いた顔をしている。
今日は何回、その顔を見たかなあ


「ディックが、自分自身を否定したようで、悲しくなったの。

私ね、ディックにはーーーー」


世界のことを、たくさん知っているディックだから
いろんな悲しみや、辛い現実を見てきたんだと思う。

だから、そんなディックに



願わくば



「幸せになって欲しいよ」

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