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49番目のあなた【D.Gray-man】

第6章  願わくば



しばらくすると、二人はダンスを終え離れていく。
その姿にひと息、ホッと…


ホッと?

安心している自分に気づく。


(やっぱ駄目だ。調子が狂う)

きっと、最近忙しいからだ。
すみれとお茶をしながら本を読んだり、勉強したりしてないから。

(書庫室で、まったりしたいさ…)

書庫室の窓際で、ティーセットを準備して俺を待つすみれを思い出す。

胸が、きゅっ と苦しくなる




「ねえ、少し宜しくって?」

思いを馳せていると、先程ウィンクを送られた金髪美女に話しかけられる。
「先程はどうも♪」
人懐こい笑顔を向けつつ、視線はすみれを捉えている。

すみれは窓枠に張り付いている…何してんさ?
しばらくそうしているかと思えば、ダンスホールを後にし、何処かへ向かいだした。


(…別に、すみれを見張ったり、追う必要性なんて全くない。目の前の金髪美女と楽しめばーー)


すみれの笑顔が、脳裏に浮かぶ

「悪い、急用なんで!」
気づけば駆け出していて、後ろで「はあ?!」なんて、お怒りの金髪美女の声がした。









すみれを探しつつ後を追うと、中庭の庭園に着いた。

池の前で、男と座り込んで話をしている。
その雰囲気が、先程の舞踏会とは違和感を感じる。


まるで、俺と本を読んでいるときの
素の すみれのようだった。

俺しか知らないはずの、すみれの顔を
他の男にも向けている。


心の中が ぶわっと、ざわつく
黒い、怒りのようなーーーーーー違う、これは



嫉妬、だ


二人の距離は近く、今にも手が触れそうだ。
居ても立ってもいられなくなり、二人に気づかれぬよう、ギリギリの距離を詰める。

(これは友として、心配しての行動で…)

すみれの髪からキラッと何か光る。
…俺があげたヘアアクセサリーだ。

こんな、舞踏会につけてくるような代物ではない。
毎日付けると言っていたが、わざわざ今日付けてくるなんて。

また胸がきゅっとなる。


自分の胸の痛みに気を取られていたら、二人は向き合い、男はすみれの頬に手を添えていた。

(…え?!ちょ?!)

すみれの顎をくいっと持ち上げ、男はすみれの唇へ吸い寄せられるかのように、自分のを重ねようとしたーーーーーー


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