第1章 再会
「ーーーー振り返らず、行くさ。
この戦場から逃げろ。」
爆薬により建物が崩壊し周囲には火の粉も上がっている。
「あなたは?!一緒に逃げなきゃ!」
座り込んでしまった私の腕を少年は持ち上げ立たせる。
私の肩に手を当てしかと両目を合わせる。
少年の緑色の隻眼が私を見つめる。
「俺は仕事がある。見届けなきゃなんねえ。俺は大丈夫だから、すみれは生き延びろ。
ーーーーお願いだから、死ぬな。」
良い子だろ、と少年は私の髪を掻いた。
まだ幼いのに動作はとても大人びていて、困った笑顔を浮かべている。
私が逃げないと彼も逃げれず、その場から動けないことを何となく悟った。
「…わかった、あなたの言う通りにする。
助けてくれて、ありがとう。
また 会えるよね?」
「ーーーーーーーーああ。」
少年の彼に二度と会えないことはわかっていながらも、問わずにはいられなかった。