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49番目のあなた【D.Gray-man】

第17章  想い思われ反発して




『その笑い方、覚えておいてね』



あの時のすみれは、まるで―――――




















ふと、目が醒める。
一番最初に視界にぼんやり映ったのは、木の骨組みが剥き出しになっている古い建物の天井だった。




(此処は…)



黒の教団の書庫室だ。
調べ物の途中でラビは寝落ちしてしまった。散らかした本に埋まっていたラビは体を起き上がらせ、寝ぼけ眼で頭をガシガシと掻く。



(あん時…

すみれとリナリーと3人で外出した時の夢かぁー………っつーか、)



寒…ッ!



ぶるるっと体を震わす。眠っていた脳も一瞬で目が醒めた。







『ーーーーラビの笑い方、覚えておいてね』


嗚呼、夢だったらどんなに良かっただろう。
あの時のすみれの顔を思い浮かべる。

とても楽しそうに笑っていた。

しかし、今にも泣き出しそうで、胸を締め付けられる笑顔だった。



(あの時のオレは、どんな顔をしていたんだろう…)



素のオレだったのか、それともブックマンとしてのオレだったのか。

いや、そもそも黒の教団に身を置いてる“ラビ”は傍観者のブックマンであって。それ以外のオレとは存在するのか…



『覚えておいてね』


脳内で何度もリピートされる、すみれの声



「あ"ーも"ーッ!」



あの時のすみれの笑顔が、頭から離れない



「へっ…、























ヘブシっ!!」


盛大なくしゃみをかまし、ズビビと鼻をすする。
なんとも間抜けな絵面なせいか、いまいちシリアスになりきれない。



(……駄目だ、寒すぎる。一旦ここから離れるさ)



この間、やっと秋が来たと思ったら一瞬で冬に様変わりしていた。
ラビはトレードマークでもある白いマフラーを首に巻き直し、1冊だけ本を手にし書庫室を立ち去った。



手にした本は、ネガティブ・ケイパビリティ―――答えの出ない事態に耐える力、という題名の本だ。



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